近年、スマートフォンを中心に多くの人が気軽に楽しむようになったソーシャルゲーム。ひと昔前までは“暇つぶし”のイメージが強かったものの、いまやその市場規模は映画や音楽産業にも匹敵するほど拡大しています。そして、その急成長を象徴するかのように、ひとつのゲームがひと月で数百億円という売上を叩き出すケースも現れるようになりました。そう聞くと、ゲームにそこまでの金額が動くのかと驚かれるかもしれませんが、実際にその記録は現実のものとして残っています。

では、その「過去最高の月間売上」を記録したのは、どのゲームだったのでしょうか。そして、その金額はいったいどのくらいだったのか。今回の記事では、ソーシャルゲームにおける月間売上の歴代最高額にフォーカスし、その背景や注目すべきポイントをわかりやすく掘り下げていきます。

ソーシャルゲーム月間売上ランキング:歴代最高額は「原神」の385億円!

ソーシャルゲームの売上と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは「累計売上」のインパクトかもしれません。でも、ゲーム業界の中では「月間売上」に注目が集まる場面も少なくありません。その理由のひとつが、月ごとに行われる大型イベントや新キャラクターの投入、さらには記念キャンペーンなどが、プレイヤーの課金行動に強く影響を与えるからです。つまり、月間売上は単なる数字以上に、そのゲームがその時期どれほどの熱量を持っていたかを測る指標にもなっているんですね。

そんな中で、これまでに「ソーシャルゲームの月間売上最高額」として確認されているのが、2021年9月に記録された『原神(Genshin Impact)』の数字です。この月、『原神』は全世界で約3億4100万ドル、日本円にしておよそ385億〜389億円もの売上を叩き出しました。あまりに桁違いの数字ですが、これは単なる偶然や一時的なブームではなく、しっかりとした背景と積み重ねによって達成された記録です。

そもそも『原神』は、中国のゲーム開発会社miHoYo(現在はHoYoverse)によって開発・運営されているオープンワールドRPGで、2020年のリリース当初から「家庭用ゲーム機並みのグラフィック」「自由度の高い探索要素」「ガチャを中心とした綿密な課金設計」で話題を集めてきました。課金プレイヤーだけでなく、無課金でも長く遊べる仕様が支持され、結果として広い層に浸透していったわけです。その影響力はすさまじく、売上だけを見てもリリースからわずか2年で5000億円を突破し、40カ月で累計売上50億ドルに達するという驚異的な成績を残しています。

こうして見ていくと、『原神』の月間売上385億円という数字も、突拍子もない話ではないことがわかってきます。むしろ、しっかりと戦略が練られたゲーム運営と、グローバル展開を見据えたマーケティング、そしてユーザーに寄り添ったコンテンツ設計によって、自然と導き出された結果だったと捉えるほうが妥当かもしれません。

他タイトルの売上動向と「原神」記録の比較検証

とはいえ、『原神』だけが圧倒的な数字を叩き出した例外というわけではありません。ソーシャルゲーム業界では、他にも数多くのタイトルが極めて高い月間売上を記録してきています。中でも代表的なのが、テンセントが開発・運営を手がける『Honor of Kings(王者栄耀)』というゲームです。このタイトルは中国市場を中心に圧倒的な人気を誇っており、2020年9月には約2億4000万ドル、日本円にしておよそ253億円という売上を記録しています。その後も記録を更新し続け、2021年5月には2億6450万ドル(約290億円)、さらには別の月には2億7450万ドル(約352億円)という驚異的な数字を達成しています。

こうして見ると、『原神』の記録が飛び抜けているとはいえ、上位に並ぶ他のタイトルもかなり接近した水準にあることがわかります。実際のところ、運営方針やイベントスケジュール、さらには国ごとのユーザー動向によって、その月の売上が大きく変動するのがこの業界の特徴でもあるんですね。

そしてもうひとつ、近年になって注目を集めているタイトルとして『Whiteout Survival』というゲームが挙げられます。このゲームは2025年3月において、「全世界での月間売上が過去最高を記録した」と報じられた実績を持っています。しかも、リリースからわずか5年未満で累計22.5億ドル(およそ3500億円超)を突破し、過去5年間に登場したモバイルゲームの中でも最速で20億ドルに到達したという点が非常に注目されています。ただし、現時点では月間売上の具体的な金額までは明示されておらず、『原神』の385億円という記録を超えているかどうかについては判断できないのが正直なところです。

だからこそ、こういった記録を語るときには、単純に「今がすごい」という視点だけでなく、数字の裏にある文脈や、比較可能なデータが揃っているかどうかを見極めることが重要になってきます。一見すると最新タイトルの勢いが目を引くかもしれませんが、それでも『原神』が築き上げた記録の重みは、いまだに揺るがない存在として受け止められています。

月間売上が示す「価値」と、これからのソーシャルゲーム市場

振り返ってみると、ソーシャルゲーム業界における月間売上というのは、単なる数字の勝負ではなく、そのゲームがどれだけ多くのユーザーに愛され、どれだけ綿密に設計されていたかを物語るひとつの“証明”でもあると感じさせられます。『原神』が2021年9月に叩き出した約385億円という記録は、まさにその象徴とも言えるもので、数あるソーシャルゲームの中でも圧倒的な存在感を放ち続けています。

もちろん、業界全体としては日々進化が続いていますし、新たなヒットタイトルが登場するたびに、記録が塗り替えられる可能性は常にあります。実際に、『Whiteout Survival』のように、急成長を見せている作品も現れており、今後の市場の動きからはますます目が離せません。ただ、それでも現時点においては、『原神』が打ち立てた月間売上の最高額は、ひとつの到達点として明確な位置づけを持っているといえるはずです。

売上という形で表れる数字の裏には、それぞれのゲームに込められた世界観や物語、そしてプレイヤー一人ひとりの熱量があります。そうした想いや体験が積み重なった結果が、あの“385億円”というインパクトのある記録を生み出したのだとすれば、それは単にお金の話にとどまらず、ひとつの文化として語る価値のある出来事なのかもしれません。