「幻想牢獄のカレイドスコープ2」は、2025年3月14日にエンターグラムからリリースされたサイコサスペンスADVです。対応機種はPlayStation 4とNintendo Switchで、CEROレーティングはD(17歳以上対象)。プレイヤーは、独特の心理描写と緊迫感のあるデスゲームを、少女たちの視点で追体験していくことになります。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

前作『幻想牢獄のカレイドスコープ』の世界観を引き継ぎつつも、本作は物語や登場人物を一新しており、シリーズ未経験者でも問題なく入り込める構成になっています。とはいえ、前作をプレイ済みの方であれば、随所にちりばめられた小ネタや含みのある台詞から、より深い意味を読み取る楽しさも味わえるつくりになっています。

企画とシナリオを手がけるのは、『ひぐらしのなく頃に』で知られる竜騎士07氏。重厚なテキストと、少女たちの心の綾を巧みに描く筆致は本作でも健在で、プレイヤーの心理を揺さぶる場面が随所に配置されています。キャラクターデザインは前作から変更されており、今回はイラストレーター・過去東(かこあずま)氏が担当。登場人物の表情や仕草が、物語の重苦しさと切なさを一層引き立てています。

また、ゲームのボリューム感としては比較的短めで、テキストを飛ばさずに読んでもおおよそ3〜4時間程度でエンディングに到達する内容です。短編ならではの密度とテンポ感、そして鮮烈な印象を与える演出の連続に、気づけば夢中になっている…そんな感覚に陥る人も少なくないはずです。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

ストーリー紹介|変わり者4人組と“同窓会”の真実

物語の始まりは、高校三年の夏休み。舞台に登場するのは、中学時代に「変わり者」と周囲に扱われながらも、強い絆で結ばれていた4人の少女たち。そんな彼女たちが、高校に進学してからは徐々に疎遠になり、やがてほとんど連絡も取らなくなっていたという関係性が描かれます。

その空白の時間を経て、物語はひとつの“再会”をきっかけに動き出します。きっかけとなるのは、リーダー格だった渦花黒祢(コロネ)から届いた「同窓会」の誘い。どこか懐かしさと不穏さが入り混じるその言葉に導かれ、残る3人──家路れもん、巌水梓杏、紅葉寺紫──が指定された場所に足を運ぶところから、彼女たちの運命が大きく動き始めます。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

再会の場となるはずだったその場所は、現実離れした「不思議の国のアリス」を思わせる装飾で満たされており、扉は閉ざされ、外界との接触は一切断たれてしまいます。そこに現れるのが、デスゲームの進行役を担う謎のキャラクター──ハンプティ・ダンディ・ダンプティ。彼の口から語られるのは、ゲーム開始の宣言と、驚愕のルール。

“勝てばご褒美(仲直り)、負ければ処刑。”
楽しいはずの同窓会は、過去の因縁を清算するための過酷な舞台へと変貌していくのです。

このデスゲームに込められているのは、ただのサバイバル要素ではありません。それぞれが抱えていた心の傷や、友情の裏に潜んでいた違和感、そして「黒祢が何を思ってこの場を設けたのか」という疑念が、物語を進めるごとに少しずつ、しかし確実に明かされていきます。登場人物の言葉ひとつひとつが、どこかに伏線を孕んでおり、読み進めるたびにプレイヤーは違った角度から“同じ出来事”を見つめ直すことになる。その構造が、本作の最大の魅力と言っても過言ではありません。

中でも印象的なのは、黒祢が仕掛ける“復讐劇”としての側面です。一見穏やかで人当たりの良かった彼女が、なぜ今になって過去を蒸し返すような残酷なゲームを始めたのか。その動機は単純な感情では語りきれず、彼女の言動や沈黙の意味を読み解こうとするたびに、プレイヤー自身の倫理観にも揺さぶりがかかっていきます。

過去を清算する、という言葉の重み。そしてそれが果たして本当に“仲直り”につながるのかどうか。物語は決してプレイヤーに明確な答えを押しつけず、最後まで問いかけ続けるような形で幕を引きます。その余韻こそが、この短編ADVに強烈な印象を残す理由の一つだと感じられました。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

登場キャラクターとキャスト紹介

この物語の中心となるのは、かつて“変わり者”と呼ばれていた4人の少女たち。そして彼女たちを取り巻く舞台装置として、もうひとりの“進行役”が存在しています。どのキャラクターも一見するとありがちな個性に見えますが、それぞれが持つ背景や心の内側には深く複雑な物語が詰まっており、プレイを進めていくほどに印象が変わっていく感覚があるんですね。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

まず最初に紹介したいのは、物語を動かす鍵を握る人物──渦花黒祢(うずはな くろね)。普段は人当たりがよくて、優しくて、誰に対しても思いやりを持てるような女の子なんですが、どこか他人との間に一線を引いているような空気も感じられる存在です。彼女は、周囲の長所を見つけるのが得意で、場の空気を読む力にも長けている一方で、自分の本心を隠すことにも長けている。そんな彼女が“同窓会”を呼びかけたという事実に、プレイヤーは序盤からずっと不安を感じさせられます。

彼女の声を演じるのは夏吉ゆうこさん。どこか包み込むような優しさと、底知れなさの両方をあわせ持つ声の演技が、本作の空気を引き締めてくれています。そして、回想シーンに登場する中学生時代の黒祢には、小笠原早紀さんが声をあてており、過去と現在を演技のトーンの差で感じ取れる演出も、なかなか見事でした。

続いて、家路れもん(いえじ れもん)。彼女はいわゆる「ぼっち系のゲームオタク」で、無口かと思えば、好きなゲームの話題になると一気に饒舌になるタイプ。人と接することが苦手で、つい壁を作ってしまいがちなんですけど、その不器用さにどこか親しみやすさを感じてしまうようなキャラになっています。声を担当するのは和泉風花さん。淡々としているようでいて、れもんの隠れた情熱や緊張感をしっかり声に乗せていて、聴いていて飽きない演技が印象に残りました。

そして巌水梓杏(いわみず しあん)は、まさに「強面系ぼっち」とでも言うべきキャラクターです。誰に対しても一歩引いた態度を取っていて、ちょっとした挑発にもすぐ反応してしまう短気さを持ち合わせています。でもそれは、これまで彼女が暴力に頼るしか生き方を知らなかったという背景を知ると、むしろ繊細さの裏返しにも見えてくる。声優は田野アサミさんが務めており、その低くて芯のある声は、梓杏の内に秘めた痛みや葛藤をしっかりと伝えてくれます。

最後に紹介するのは、紅葉寺紫(こうようじ ゆかり)。高飛車で、成績もルックスも完璧だけど、他人を見下すような物言いでしばしば孤立しがちな“お嬢様キャラ”です。ただ、彼女の態度には彼女なりの理由があり、それを知っていくと少しずつ見方が変わっていく仕掛けになっています。演じているのは矢野妃菜喜さんで、優雅さのなかに時折覗く焦りや不安といった表情を、繊細に表現しているのがとても印象的でした。

そして忘れてはならないのが、物語の狂言回しとなるキャラクター、ハンプティ・ダンディ・ダンプティ。まるで絵本から飛び出してきたかのようなデザインのマスコットでありながら、その言動にはどこか狂気を感じさせる危うさが漂います。声を担当するのは茶風林さん。彼の安定感ある低音ボイスが、場の緊張感をさらに引き立ててくれているんですね。このキャラの存在が、単なるゲーム進行役にとどまらない“気配”を残している点も、本作の仕掛けとして見逃せない部分だと感じました。

全体を通して、キャラクターたちはいずれも“癖がある”のに、“理解できる”ように描かれているんです。そしてそれを声優陣が丁寧に演じきってくれているからこそ、テキストの重さや感情の波がしっかりプレイヤーに伝わってくる。キャスト陣の演技力が、この作品を“読み物”から“体験”へと昇華させている要因のひとつだと言っていいと思います。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

ゲームシステムと特徴

本作『幻想牢獄のカレイドスコープ2』には、プレイ開始から終盤まで息をつかせぬ緊張感が持続するような独特のゲーム構造が組み込まれています。ジャンルとしてはサイコサスペンスADVと分類されていますが、その枠に収まりきらない心理的な駆け引きの重さが、物語への没入感をより一層深めてくれているんです。

まず注目したいのは、複数のキャラクター視点で物語が展開していくという点。この構造が本作の核とも言える部分で、同じ出来事を違う立場から追体験することで、当初とはまるで違った感情や印象を抱かされる場面が数多くあります。プレイヤーは最初、誰が正しくて誰が間違っているのかという視点で進めがちなんですが、視点が切り替わるたびにその確信がぐらついていく。その揺らぎこそが、本作の面白さのひとつなんです。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

また、本作では前作のようにひとつのルールに沿ってゲームが進行するのではなく、複数の“デスゲーム”が用意されています。各ゲームには異なる仕掛けや演出が施されていて、単調になりがちな構成にしっかり変化を加えてくれる工夫が感じられました。どのゲームにも必ず“心理的な揺さぶり”が絡んでいて、それがただのルール説明にとどまらず、キャラクターたちの過去や関係性と密接に結びついている点が非常に巧みだと感じました。

特筆すべきなのは、キャラクターたちの心情描写の濃密さです。ただ事件が起こって解決されていく──というような構成ではなく、登場人物の“内側で何が起きているのか”を丁寧に描いているため、単なるストーリー追体験では終わらない奥行きがあるんですね。しかも、その描写の多くがセリフだけに頼らず、声のトーンや間の取り方、あるいは短いモノローグに乗せて表現されているので、読んでいてもどこか“聴いている”感覚がある。その静かな迫力が、プレイ中の緊張感をじわじわと積み上げてくれる感触でした。

加えて、本作はキャラクターのセリフがすべてフルボイス仕様になっており、一部の心理描写や心の声といった“地の文”にあたる部分にもボイスがあてられているのが特徴的です。この演出が非常に効果的で、テキストでは伝わりにくい微妙な感情の揺れや息づかいが、音としてプレイヤーに届けられる。だからこそ、黙っているシーンにすら意味があるように感じられるんですね。

ゲームとしてのプレイ時間は比較的コンパクトで、平均して3〜4時間ほどでクリアできるボリュームです。ただしその短さを補って余りあるほどの密度があり、進行のテンポも良いため、途中で“飽きる”という感覚はまずありませんでした。むしろ、ひとつひとつの選択肢や会話の意味を深読みしたくなる場面が多くて、繰り返しプレイしたくなるような作りになっているとすら感じます。

ストーリーと密接に絡んだゲーム構造、フルボイスによる臨場感、キャラクターの感情に踏み込むような視点切り替え──これらすべてが噛み合って、本作を“読むゲーム”ではなく“感じる体験”に仕立てている。単なる短編ADVにとどまらず、しっかりと記憶に残る一本になっていると実感させられる構成でした。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

制作陣・音楽・主題歌に注目

『幻想牢獄のカレイドスコープ2』が、短編でありながらも強い印象を残す作品として評価されている理由のひとつに、スタッフ陣のこだわりが挙げられます。物語に深みを与えるシナリオ、キャラクターに命を吹き込むビジュアル、そして感情の揺れを音で包み込むサウンド──どの要素も丁寧に作り込まれていて、プレイヤーはいつの間にかその世界の一員になったような感覚に浸らされるんですね。

まず、シナリオと企画を担当したのは竜騎士07氏。『ひぐらしのなく頃に』や『うみねこのなく頃に』など、プレイヤーの心をえぐるような物語を得意とする作家であり、今回の作品でもその筆致は存分に発揮されています。ただ残酷なだけではなく、登場人物の心理に徹底的に寄り添い、言葉にならない感情までも拾い上げるような描写は、まさに彼の真骨頂と言える内容でした。プレイヤーは、読み進めるにつれて彼女たちの選択や沈黙の重みを“理解”するのではなく“感じ取る”ことになると思います。

キャラクターデザインと原画を手がけたのは、過去東(かこあずま)氏。前作とはデザイナーが異なり、より繊細で感情のにじむ表情設計が印象に残りました。瞳の揺らぎや頬の陰り、指先の描き方に至るまで、視線を誘導するような緻密な構図が多くて、台詞の裏にある“本音”を表情から読み取るような体験ができたことが、プレイ中の没入感を高めてくれたと感じます。

音楽を担当するのは、「ひぐうみSound」として知られる3人──dai、ラック眼力、xakiという実力派の面々。楽曲は劇伴として場面を演出することにとどまらず、感情の起伏そのものとして機能していて、静寂のあとに流れ出す旋律や、追い詰められた場面で鳴り響く重低音など、音によって“呼吸を整えさせられる”ような効果があると感じました。演出と音楽が密接に連動していることで、ゲームの空気感そのものにリズムが生まれているんですね。

幻想牢獄のカレイドスコープ2
幻想牢獄のカレイドスコープ2

そして、作品の顔ともいえる主題歌「まっしろゲロカス☆リユニオン」もまた、強烈な印象を残す一曲になっています。歌唱は渦花黒祢役の夏吉ゆうこさんが担当しており、その声の質感が、楽曲全体に独特の浮遊感と哀しさを与えています。作詞を手がけたのは竜騎士07氏本人と07th Expansion、作曲・編曲はxaki氏。いわゆる“電波ソング”のような印象を与えつつも、歌詞の中には本編を象徴するようなフレーズが多数ちりばめられていて、聞き込むほどに意味の層が見えてくる構成になっています。

ちなみに、この主題歌は“あの黒祢が歌っている”という設定も含めて考えると、ゲームクリア後に改めて聴いたときに感じ方が大きく変わる仕掛けにもなっています。初見では意味がわからなかった一節が、エンディングを迎えたあとに「そういうことだったのか」と心に刺さるような感覚。そこにもまた、この作品の“再プレイの価値”が丁寧に埋め込まれているように感じられました。

演出・ビジュアル・音楽・シナリオ──これらがバラバラに存在するのではなく、すべてがひとつの“感情の流れ”として連なっているからこそ、この短さであっても強烈な没入感と余韻を残す作品に仕上がっているのだと思います。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

実際のプレイ感想と評価

ここまで本作の構成や演出、キャラクターについて詳しく触れてきましたが、やはり気になるのは、実際にプレイしてみての“体験としてどうだったか”という部分だと思います。端的に言うならば、『幻想牢獄のカレイドスコープ2』は、情報の密度と感情の厚みが凝縮された短編ADVとして、個人的にはかなり強く印象に残る作品でした。

まず、物語の進行テンポについてですが、プレイ時間そのものは3〜4時間程度と非常にコンパクトです。ただ、その短さが“物足りなさ”ではなく“濃密さ”として受け取れる構成になっていた点がとても良かったと感じました。余計な描写や間延びした会話は一切なく、すべての台詞や場面に“意味”があるように感じられるんです。テンポが良い分、プレイヤーの感情が冷める暇がなくて、常に緊張感の中に身を置いているような、そんな感覚が続きました。

そして何より印象的だったのが、“感情の流れ”に無理がないこと。視点が変わることでそれぞれのキャラの過去や動機が徐々に見えてくるんですが、それらが無理に感動させようとするのではなく、気がついたら胸の奥に何かが残っているような、そんな“静かな余韻”として届いてくるのが良かったんです。言い換えるなら、プレイヤーを泣かせるために作られたストーリーではなく、“キャラが本当にそういう人生を歩んできたんだな”と思わせるようなリアルさがあったというか。そういう自然な感情の重みが、作品全体の説得力につながっていた気がします。

一方で、あえて指摘しておきたい点としては、プレイ時間の短さと価格帯のバランスについてです。SNS上やレビューサイトなどでもこの点を挙げる声はちらほら見かけました。たしかに5,000円台という価格に対して、3時間前後のボリュームだと“コスパ”という意味で引っかかる人がいても不思議ではありません。ただ、それに対して個人的に感じたのは、“時間=価値”では測れない内容の濃さがあったということ。長く遊ぶことで満足感を得たいタイプの作品ではなく、“短くても深く沈み込める”ような、まるで舞台劇を観たあとの余韻に似た満足感がありました。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

また、デスゲームというテーマにもかかわらず、視覚的にグロテスクな演出はほとんど控えめに設計されているため、“サスペンスは好きだけど過激なのはちょっと苦手…”という人でも手を出しやすい作風になっていたのも好印象でした。怖がらせるよりも、むしろ“静かに痛みを伝える”ような手法が中心だったので、ホラー耐性がなくても最後まで楽しめる作りになっていると思います。

評価全体で見ても、本作は「神ゲー寄り」という言葉があちこちで使われているのも納得でした。竜騎士07氏のファンであればもちろん、初めて彼の作品に触れる人にとっても、“人の心の綾を丁寧に描く”という彼の作風の真価をしっかり味わえる内容になっています。プレイし終えたあと、自分の中に残る“何か”をずっと考え続けてしまうようなタイプの物語。それが短時間でありながらも、深く心に爪痕を残していくんです。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

まとめ|このゲームはどんな人におすすめか?

ここまで『幻想牢獄のカレイドスコープ2』について、さまざまな角度からご紹介してきましたが、最終的にこのゲームを誰におすすめできるのか──その点を、あらためて振り返りながら整理しておきたいと思います。

まず第一に、本作は“短編であっても感情を深く揺さぶられたい”と願う人に強く刺さる作品です。登場人物の言動ひとつひとつに裏があり、それを多視点で追っていく中で見えてくる感情の断層。その描写は、決して大げさではないのに心の奥に染み入るものがあって、自分自身の過去の人間関係をふと思い出させられる瞬間があるんです。

また、竜騎士07氏の作品をこれまでにプレイしたことがある人にとっても、これは決して“おなじみの雰囲気”に留まらない内容だと感じました。むしろ、彼の描く物語の“痛みの伝え方”が、より洗練されていて、キャラクターに寄り添う角度が一段と深くなっているように思えたんですね。キャラに“感情移入”するのではなく、“彼女たちの揺らぎを一緒に見守る”ような距離感。それが本作ならではの空気を作り上げているように感じられました。

そして、“キャラの表情から物語を読むことに楽しさを感じられる人”──こういう方には特に向いていると思います。視線の動き、沈黙の意味、何気ない一言に込められた微妙なニュアンス。それを感じ取れるかどうかで、本作の体験はまるで変わってくると思います。裏返せば、テンポや演出が派手な作品を好む人や、明確なカタルシスを求めるタイプの方にとっては、少し物足りなさを覚える可能性もあるかもしれません。ただ、その“静けさの中にある重さ”こそが、この作品が評価されている大きな理由でもあるので、少しでも興味を持てたなら、その世界に一歩踏み込んでみてほしいと感じました。

幻想牢獄のカレイドスコープ2

最後にひとつだけ。本作には、プレイし終えたあと“何かひとつを問いかけられた気がする”余韻があります。それが自分にとって何だったのか、明確に言葉にするのは難しいかもしれません。ただ、その問いは、確実に胸の奥に残る。そして、それこそが“心に届く物語”の証なんじゃないかと、静かに思わされたプレイ体験でした。

そんなふうに、“時間では測れない満足感”を味わってみたい方にとって、『幻想牢獄のカレイドスコープ2』は、きっと強く記憶に残る一本になるはずです。

幻想牢獄のカレイドスコープ2