※評価は管理人の主観によるものです。
『甘いイジワル ~地味なパパ喝◆~』は、PoROが手掛ける人気シリーズ「甘いイジワル」の新作として2025年9月に登場した短編OVAです。収録時間は22分とコンパクトながらも、物語の密度とキャラクターの描写にしっかりとした存在感が宿っていて、見る者の心を掴んで離さない作品に仕上がっています。タイトルから想像できるように、本作のテーマは“背徳”と“切なさ”の絶妙な交錯です。

地味で卑屈なヒロイン・里菜が、陰を帯びた瞳と怯えた態度の裏に秘めるのは、どうしようもなく抑えきれない渇望。その姿は、観る側に思わず「この子のことをもっと知りたい」と思わせる力を持っています。作品全体に漂うのは、ただの快楽描写にとどまらない、心の奥をざわつかせるような“萌え哀しさ”です。里菜の仕草ひとつ、表情の変化ひとつが、観る者の心に余韻を残していくのです。

本作の魅力は、ただ地味な少女が淫らに迫るという一面的な描写ではなく、背徳感を伴う父娘関係との対比にもあります。娘の小都がバスタオル姿で「パパ~シャンプー切れちゃった」と無邪気に声をかける一方で、その友人である里菜は陰からじわじわとパパに迫ってくる。この二人のコントラストが物語の緊張感をさらに高め、視聴者を物語の渦へと引き込んでいくのです。
娘の無邪気な誘惑と、地味ヒロインの執着が交錯する危険な物語
物語は、父と娘が二人きりで暮らす家庭から始まります。離婚を経験した父・尚人と、その娘・小都は、互いに支え合うように日々を過ごしていました。けれども、娘である小都は少しずつ父への思いを歪んだ形で募らせていきます。バスタオル一枚で浴室から現れ「パパ~シャンプー切れちゃった」と甘える姿は、まさに確信犯的であり、父親に対する愛情と少女特有の危うさが同居しているのです。

そんな二人の関係に、もうひとりの存在が深く絡んでいきます。それが小都の友人であり、控えめで卑屈な雰囲気を持つ地味な少女・里菜です。彼女はクラスでもほとんど目立つことがなく、スマホが鳴るとコソコソと席を外す姿が印象的な存在。けれど、小都とは唯一心を許せる相手として、ほんのり温かい会話を楽しむ友達関係を築いていました。

しかし物語が進むにつれて、その地味な仮面の裏に隠されたもう一つの顔が明らかになっていきます。小都のパパである尚人の前に立ちはだかった里菜は、自らの上着をたくし上げ、まだあどけなさを残す胸を露わにしながら囁きます。「安心してください。小都には言いませんから」――その言葉とともに差し出されたのは、彼女の手に握られたスマホ。そこに映っていたのは、尚人がパパ活で遊んでいる現場の映像でした。

この時点で尚人には拒む選択肢など残されていません。後ろめたい秘密を握られた父親と、卑屈なまでに執着心を燃やす地味ヒロインとの関係は、後戻りのできない背徳の道へと突き進んでいきます。ここに描かれるのは、ただの強引な誘惑ではなく、哀しげな笑みの奥に隠された少女の渇望と、抗えない大人の弱さが絡み合った危うい人間模様なのです。