※評価は管理人の主観によるものです。
『あの夏、秘密のコンフィチュール』は、サークルPYPYworksから2025年9月6日にリリースされたR18マンガ作品です。作者はシャモナベ氏で、全96ページにわたって描かれる物語は四章構成となっています。

舞台は田舎の夏休み。パティシエを志していたものの、父親の不祥事によって大学を辞めざるを得なくなった青年・慧(あきら)が、姉の家に居候しながら、姪の翠羽(すう)、そしてお嬢様である凛々花(りりか)と共に過ごすひと夏の物語です。田舎ならではの開放感と、若者たちの秘められた感情が重なり合い、やがて取り返しのつかない関係へと進んでいく――そんな背徳感に満ちた展開が待ち受けています。
青年・姪・お嬢様――三人が織りなす危ういキャラクター像
『あの夏、秘密のコンフィチュール』の物語を語るうえで外せないのが、慧、翠羽、凛々花の三人です。それぞれの立場や性格が巧みに絡み合い、ただの背徳的な関係にとどまらず、どこか切なさを伴う人間模様を描き出しています。

まず物語の中心となる慧(あきら)は、元々はパティシエを志して大学へ通っていた青年です。しかし父親が横領を起こし、家の資産を潰してしまったことで退学を余儀なくされます。その結果、彼は姉の家に身を寄せ、田舎での居候生活を始めることになります。夢を絶たれた青年の弱さや迷いが、物語の流れに影を落としながらも、女性たちから向けられる想いを受け止める存在として描かれているのが印象的です。
翠羽(すう)は慧の姉の娘、つまり彼の姪にあたります。活発で天真爛漫な少女らしい一面を持ちながら、大人顔負けの大胆さも兼ね備えているのが彼女の特徴です。慧が居候という立場にあることを逆手に取り、主導権を握るように彼を誘惑し、肉体的な関係を築いていく姿は、無邪気さと狡猾さが入り混じる複雑な魅力を放っています。そのギャップが、読者にとって背徳感を強く意識させる大きな要素になっています。

一方で、翠羽の同級生であり東京から転校してきたお嬢様・凛々花(りりか)は、物語に新しい風を吹き込みます。大きな洋館に暮らす本物の良家の娘でありながら、読書好きで特に推理小説を愛する知的な側面を持っています。しかしその落ち着いた外見とは裏腹に、慧と出会って間もなく大胆に距離を縮め、秘密の関係を結んでしまうという度胸の持ち主でもあります。同じ年齢の翠羽と比べ、身体的に大きく成長したプロポーションもまた彼女の大きな魅力で、夏という開放的な季節感と相まって官能的な存在感を一層際立たせています。
この三人が織りなす関係は、それぞれが単なる属性に収まらない個性を持ち、読者を飽きさせない緊張感を生み出しています。慧の挫折と迷い、翠羽の無邪気でありながら計算された大胆さ、凛々花のお嬢様らしい品格と裏腹な奔放さ――これらが絶妙なバランスで絡み合うことで、一夏の物語が予測できない方向へと展開していくのです。
川遊びから始まる秘密の関係――物語が加速するあらすじと展開
物語は、大学を辞めて田舎に戻った慧(あきら)が、姉の家で居候を始める場面から動き出します。そこには年の離れた姪・翠羽(すう)がいて、彼女と同級生のお嬢様・凛々花(りりか)とともに、三人で夏休みを過ごす日々が描かれます。何気ない田舎の暮らしに見える光景も、登場人物たちの心情が少しずつ揺らいでいくことで、やがて危うい関係へと繋がっていきます。

大きな転機となるのは川遊びの場面です。翠羽がその場を離れた瞬間、凛々花は慧に急接近し、初めての秘密を共有することになります。お嬢様らしい清楚な雰囲気を纏いながらも、その内側に隠していた情熱を一気に露わにする彼女の行動は、読者に強烈な印象を残します。その後も凛々花は姉の家に泊まり込み、翠羽の目を盗んで慧との初体験を果たすなど、二人の関係は加速度的に深まっていきます。

しかし、この関係が一筋縄でいくはずもありません。なぜなら慧は、同時に翠羽とも肉体的な関係を持っていたからです。無邪気に見えて計算高い翠羽と、外見の穏やかさに反して大胆な凛々花。二人の少女の間で揺れ動く慧の心情は、まさに背徳と欲望の狭間で葛藤する青年そのものです。物語全体が「三角関係」という不安定なバランスの上に成り立っているからこそ、次にどんな展開が待ち受けるのか予測できず、ページをめくる手が止まらなくなります。
背徳感を掻き立てる濃厚描写――注目のプレイシーンと魅力
『あの夏、秘密のコンフィチュール』は、ただキャラクター同士の関係性を描くだけではなく、その中で繰り広げられる濃厚なシーンが読者を強く惹きつけます。二股という背徳的な状況をベースに、田舎ならではの開放感を活かした野外プレイ、さらには河原でのシーンなど、舞台設定がしっかりと官能的な空気を支えています。川遊びという健全な時間から一気に性的な緊張感へ移行していく流れは、単なるエロ描写を超えてドラマ性を伴ったものになっています。

具体的なプレイとしては、フェラチオや口内射精、さらにはお掃除フェラといった一連の流れが丁寧に描かれ、読み手の没入感を高めています。慧と凛々花の初体験は、彼女のお嬢様らしい外見と裏腹に、感情を抑えきれず一気に燃え上がる姿が強調され、インパクトを残します。また、翠羽との関係では、年下らしい天真爛漫さと小悪魔的な振る舞いが交錯し、正常位から寝バック、立ちバックまで多彩な体位で展開されるのが特徴です。どちらのヒロインも「欲望を抑えきれない存在」として描かれ、そのギャップが読者の心を揺さぶります。
切なさと欲望が交錯する一夏――『あの夏、秘密のコンフィチュール』総評
『あの夏、秘密のコンフィチュール』は、田舎という舞台ののどかさと、若者たちの欲望が交錯する背徳的な関係を濃密に描いた一作です。大学を辞めざるを得なかった慧の複雑な立場が、翠羽や凛々花との関係を一層危ういものにし、単なるエロティックな作品を超えて、どこか切なさを感じさせる物語へと昇華させています。

三角関係という構図は定番でありながらも、キャラクターたちの個性が鮮やかに際立つことで、既視感を抱かせない展開に仕上がっています。無邪気で計算高い翠羽、清楚に見えて大胆な凛々花、そして迷いを抱えながらも抗えない慧――それぞれが持つ魅力と弱さが絡み合うことで、読者は常に次の展開を期待しながらページをめくることになります。

また、96ページというボリュームの中に盛り込まれた多彩なプレイ描写は、単なる刺激以上の意味を持っています。野外での背徳的な行為、初体験の鮮烈さ、そして二股という設定が生み出す緊張感。これらが一体となり、「あの夏」という季節の儚さを一層強調しているのです。

総じて、この作品は背徳感を好む読者はもちろん、キャラクター同士の人間模様や緊張感を楽しみたい読者にとっても十分に満足できる仕上がりになっています。夏という短い時間に凝縮された物語の熱量を感じたい人には、ぜひ手に取ってほしい一冊です。