※評価は管理人の主観によるものです。
今回の作品は、完全に創作でありながらも、あまりに現実的で「こんな出来事は本当にあり得るのではないか」と思わせる新しいカテゴリー。SNSや日常生活で目にする何気ないシーンを起点に、その裏に潜む人間心理や危うさを描き出し、現実とフィクションの境界線を揺さぶってきます。

主人公のkana.は、ギターの弾き語りをSNSで発信していた地味な陰キャ女子。幼い頃に歌声を褒められた経験から「いつかは紅白の舞台へ」と夢を抱き、地道に動画投稿を続けてきました。しかし努力を積み重ねても再生数は伸びず、顔出しだけでバズる同世代を横目に嫉妬と焦燥を募らせていきます。そんな中で偶然、服を少しはだけた状態で撮影した動画をアップしてしまったことから、事態は大きく動き始めます。翌朝には過去最高の再生数を記録し、膨大なコメントが寄せられていたのです。
夢を追った少女kana.が直面した残酷な現実と嫉妬の感情
物語の中心にいるkana.は、ギターの弾き語りをSNSに投稿し続ける、ごく普通の陰キャ女子です。幼い頃に歌声を褒められた経験が彼女の背中を押し、「いつかは紅白に立ちたい」という大きな夢を抱きながら、毎日のように動画をアップしていました。努力を積み重ねれば結果はついてくると信じ、地道に活動を続ける姿は一途そのもの。ところが現実は残酷で、どれだけ真面目に取り組んでも再生数は伸びず、フォロワー数も増えないまま。画面の向こうでは、自分よりも実力が劣ると感じる同世代が、顔を出すだけで一気に注目を集めていく姿が映し出されます。その光景は彼女の心に小さな棘を刺し、気づけば静かな嫉妬が芽を出していました。

そんな中で、運命を大きく変える出来事が起こります。夏の日の蒸し暑さに耐えきれず、軽く服をはだけたまま撮影してしまった動画。それを深く考えずに投稿した翌朝、kana.は驚くべき数字を目にします。再生数は過去最高を記録し、コメント欄はこれまでにないほどの熱気で埋め尽くされていました。

ただし注目されていたのは歌声ではなく、彼女の汗ばむ肌や胸元の色気。その瞬間、彼女は喜びと困惑が入り混じった複雑な感情に襲われることになります。音楽で夢を掴みたい気持ちは確かに残っているのに、肌を見せただけで得られた圧倒的な承認の快感が、次の一歩を誘うように彼女の心を揺さぶっていきました。
偶然の露出動画が大バズり…承認欲求が彼女を飲み込んでいく瞬間
偶然の一度きり、そう思っていたはずの軽い露出が、kana.の運命を決定的に変えていきます。最初は「これは自分が望んでいた形じゃない」と自分に言い聞かせながらも、画面に並ぶ膨大な再生数とコメントの数に心は揺れ動きました。何年も努力しても届かなかった数字が、一夜にして手に入ってしまった。その現実が甘い誘惑となり、次も、さらに次もと欲望を押し広げていくのです。

承認欲求は一度火がつくと、もう止めることが難しくなります。最初はほんの少し大胆になっただけの服装が、視聴者の期待に応える形で少しずつ過激になっていきました。胸元を強調する服から始まり、気づけば制服のアレンジ、エロコスプレ、そしてマイクロビキニへ。次第に彼女の動画は「歌」を失い、視聴者が求める「エロ」に完全にシフトしていくことになります。

kana.自身も「こんなやり方じゃ駄目だ」と心のどこかで理解していました。それでも、通知が鳴り続けるスマホの画面を見てしまえば、やめるという選択肢は遠ざかっていく。バズった快感を知ってしまった以上、後戻りするのは容易ではなく、欲望の渦に呑み込まれるように次の動画へと進んでしまう。その姿は、SNSが持つ光と闇の両面を象徴するようで、読んでいる側にも生々しい現実感を突きつけてきます。
学園で身バレ、そして教師の罠――逃げ場を失ったkana.の転落劇
バズりの快感に取り憑かれたkana.の行動は、やがて学校という日常にも影響を及ぼすようになります。最初は画面の向こうの匿名の世界だけで完結していたはずが、次第に噂が広まり、ついに同級生の間で「kana.=あのエロ垢」という事実が囁かれるようになったのです。

教室で視線を感じるたびに心臓が締めつけられ、普通に過ごそうとしても背後から笑い声が聞こえるたび不安が増していく。やがてその噂は教師の耳にも届き、彼女は生徒指導室へ呼び出されることになります。

待っていたのは担任教師・高橋。普段は頼れる存在に見えていたはずの大人が、この時ばかりは絶対的な立場を利用して彼女を追い詰めていきます。「先生が責任を持って拡散してやる」と脅すその言葉は、冗談のようでいて逃げ場のない現実。スマホのカメラを突きつけられ、羞恥の姿を撮影されるkana.は、抗うこともできずにただ震えるしかありませんでした。

承認欲求を満たすために踏み込んだはずの世界が、気づけば自分を追い込む檻になっていたのです。