僕が知らない間に彼女はオタク友達に堕とされていた――静かに狂うNTRの始まり

本作最大の見どころはオタク友達という安心できる関係性がゆっくりとしかし確実に崩壊していく過程にあります。

主人公が不在の場で交わされたたった一言。
それをきっかけに抑え込まれていた欲望と視線が一斉に彼女へ向かっていく展開は静かなのに異様な熱を帯びています。

恋心に気づかぬまま置いていかれる主人公と知らぬ間に女として消費されていくヒロイン。
その温度差こそが本作の背徳感を極限まで高めているのです。

本作の舞台はいわゆる陰キャオタクたちが集う閉じたコミュニティです。

外部の人間が介入しない空間だからこそその場の空気やノリ遠慮のなさが歪んだ形で加速していきます。

友達という名目で距離を詰められ拒否しきれないまま巻き込まれていくヒロインの姿は読んでいて息苦しさすら覚えるほどリアルです。

この逃げ場のなさこそが本作のNTRをより生々しいものにしています。

本作が巧みなのはヒロインが最初から流されきっているわけではない点です。

戸惑い迷い言い訳を重ねながら少しずつ一線を越えてしまう心理描写が非常に丁寧に描かれています。

これは浮気じゃない友達だから大丈夫。
そんな自己正当化が積み重なり気づいた時にはもう戻れない場所へ来てしまっているのです。

その過程があまりにも自然で読者の心にも強く刺さってきます。

くーちゃんの魅力は地味で控えめな性格と隠しきれない肉感的な身体のギャップにあります。

普段は大人しく笑っている彼女が視線を向けられ触れられ少しずつ表情を変えていく描写は非常に背徳的です。

純粋さが完全に消えるわけではないからこそ堕ちていく瞬間がより鮮明に浮かび上がります。

このヒロイン造形があるからこそ本作は単なるNTRで終わらない余韻を残してくれるのです。