おとなりの人妻(35) 〜歳の差なんて(上)〜

白ブラウスに透ける黒の下着、微笑みの裏に漂う大人の余裕――北小路えりな(35)の登場シーンからすでに空気が艶めいています。隣人として出会った彼女に恋をしてはいけないと分かっていながら、学生である“僕”は彼女の色香に抗えない。そして、夜。壁越しに響くえりなと夫の激しい交わりの声が、僕の中の理性を焼き切っていく。夫に罵倒されながらも喘ぐ彼女の声は、哀しさと快楽が入り混じった背徳の旋律。読み進めるほどに、えりなの「心の渇き」と「肉体の飢え」が絡み合い、読者自身もその音に耳を澄ませずにはいられません。gonza氏ならではの濃密な筆致が、人妻の切なさと欲望をリアルに描き出しています。

隣人という距離が生む「見てはいけない快楽」

引っ越しのあいさつに訪れたその日、白いブラウスの下から透けて見えた黒のブラジャーが、すべての始まりでした。隣に越してきた北小路えりな、三十五歳。穏やかな笑顔と大人の余裕をまといながら、どこか物憂げな視線を落とすその姿は、年下の僕にとってあまりにも刺激が強かった。挨拶を交わした一瞬の間に、理性と欲望がせめぎ合い、心の奥で何かが弾けたのを今でも覚えています。

おとなりの人妻(35) 〜歳の差なんて(上)〜(1/6)

その夜、壁越しに響いてきた声が、僕の中の均衡を崩していきました。えりなさんと夫の激しい行為。抑えきれない吐息、乱れる声、罵りと快楽が入り混じった湿った音。そのすべてが、現実ではありえない距離の近さで僕の耳を貫いたのです。止めようとしても、耳が勝手に音を拾ってしまう。目を閉じても、えりなさんの笑顔が浮かぶ。昼間のあの優しい微笑みが、夜になると別の表情に変わっていく――その落差に、身体の奥が熱くなっていくのを感じました。

おとなりの人妻(35) 〜歳の差なんて(上)〜(2/6)

彼女の部屋と僕の部屋は、ただ一枚の壁で隔てられているだけ。その“薄さ”が、想像を何倍にも膨らませていきます。見えないからこそ、想像してしまう。聞こえてはいけない音ほど、深く心に残ってしまう。そんな背徳の夜を重ねるうちに、隣人という存在が日常の延長ではなく、触れてはいけない幻想に変わっていく――。gonza氏が描く世界は、ただのエロスではなく、「覗き見ることの罪悪感」までも快楽に変えてしまうのです。

夫に責められる人妻の表情に滲む哀艶と背徳

壁の向こうから聞こえるえりなさんの声は、最初こそ戸惑いと苦しみに満ちていました。夫の怒鳴り声が響くたびに、彼女のかすれた吐息が重なり、そのたびに胸の奥がざわつく。けれど、聞き慣れていくうちに気づいたのです。そこにはただの屈辱だけではなく、微かな快感が混ざっていることに。叱責の合間に漏れる艶やかな声、押し殺すような息遣い――あの瞬間、彼女の中で何かが壊れ、同時に解き放たれていくように感じました。

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えりなさんは夫に責められながらも、どこかでその痛みを受け入れている。拒絶ではなく、まるで贖罪のような表情で快楽を受け止めている。彼女の唇が震え、声にならない喘ぎを洩らすたび、僕の中の理性は音を立てて崩れていきました。あの白いブラウスの下に隠されていたのは、清楚な微笑みだけではなく、男に従いながらも心の奥で抗う“女の本能”だったのだと――。その矛盾こそが彼女をより美しく見せていたのかもしれません。

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そして、そんな彼女を“覗いてしまっている”という現実が、さらに僕の興奮を煽りました。覗き見の罪悪感と、止められない欲望。壁一枚隔てただけの世界で、彼女は夫に責められ、僕はその音に支配されていく。互いに知らぬまま、ひとつの快楽を共有しているような錯覚さえ生まれていました。えりなさんの苦しげな声が途切れるたびに、静寂の中で自分の鼓動だけが異様に大きく響く。その夜の音が、僕の中に消えない痕を残したのは間違いありません。

年下の視点だからこそ描ける“禁断の恋”の鼓動

えりなさんへの想いは、気づけば恋という言葉では片づけられないほどに深くなっていました。年上で人妻という存在に惹かれてはいけない、そんな理屈は分かっているのに、心が先に動いてしまう。彼女の微笑みを見るたび、昼間の柔らかな眼差しと夜のあの艶やかな声が重なり、胸の奥がざわめく。あの声を知ってしまった以上、もう純粋な隣人として接することなんてできないのです。

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年下の僕にとって、えりなさんは“手の届かない大人”の象徴でした。落ち着いた所作、言葉の端々ににじむ包容力。けれどその一方で、夫の前では押し殺された感情と欲望を抱えている。その矛盾を知ってしまった瞬間、僕の中の恋心はゆっくりと背徳へと変わっていきました。年下の視点だからこそ見えるのは、えりなさんの隙、そして彼女の中に潜む孤独です。彼女の“女性としての痛み”を感じ取るたびに、僕はどうしようもなく惹かれていった。守りたいのか、奪いたいのか、その境界が曖昧になっていく。

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gonza氏の筆が見事なのは、そうした“心理のゆらぎ”を丁寧に描いている点にあります。行為そのものよりも、行為に至るまでの葛藤、理性と欲望がせめぎ合う瞬間の温度。若さゆえのまっすぐな衝動が、読者にリアルな共感と興奮を与える。えりなさんの涙も笑顔も、年下の目線を通すことでより生々しく、より切なく映し出されていく。だからこそ、この物語は単なる官能ではなく、“心と身体が混ざり合う恋”として胸に残るのです。

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