Nintendo Switchで新たなスローライフRPGが始まった。

タイトルは『ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女』。

シリーズファンにとっては待望の続編であり、初めて触れる人にも優しく、そして何より自由な冒険の世界が広がっている。

本作は、レベルファイブが手がける「ファンタジーライフ」シリーズの最新作として、2025年5月22日に発売されたばかりの完全新作だ。

職業(ライフ)を自由に切り替えながら、自分のペースで素材を集め、モンスターと戦い、クラフトや生活を楽しめる。そんな“癒し”と“冒険”が共存する本作は、いわゆる「スローライフ系」のゲームに新たな可能性を提示してくれている。

この記事では、実際にプレイして感じた魅力や進化したゲームシステム、そしてユーザーからの評価などを交えながら、『ファンタジーライフi』の全体像を丁寧にお届けしていく。

スローライフに憧れる人も、自由なRPGを求めている人も、この世界に一度足を踏み入れてみてほしい。

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職業は14種類!ライフシステムの魅力とは

本作における最大の特徴といえば、やはり“ライフ”と呼ばれる職業システムの存在だ。

プレイヤーはゲーム開始後、戦士や狩人といった戦闘職はもちろん、採掘師や木こり、料理人、大工といった生活系の職業まで、合計14種類のライフを自由に切り替えながらゲームを進めていくことになる。

この切り替えの自由さが、ファンタジーライフiのゲーム性を一気に広げてくれている。

たとえば、戦士として敵と戦いながら経験値を稼いだ後、気分を変えて採掘師に転職し、地中から希少鉱石を掘り当てたり。

あるいは、料理人となって集めた素材を使って料理を作り、それを仲間に振る舞って冒険を少し休んでみたり。

職業ごとにプレイスタイルががらりと変わるため、常に新鮮な気持ちでプレイできるのが魅力なんだ。

さらに、このライフシステムは単なる“見た目の変化”にとどまらず、それぞれの職業に固有のスキルや成長要素が用意されている。

どのライフでプレイするかによって、攻略ルートも戦い方も違ってくる。

自分なりの遊び方を探す過程そのものが、ゲームの醍醐味としてしっかり成立しているように感じた。

そして特筆すべきは、この切り替えが驚くほどスムーズだという点。

町に戻って長々と手続きを踏む必要はなく、拠点の中で気軽に職業変更が可能になっている。

これが快適で、何度も繰り返し“自分に合ったライフ”を試す気持ちにさせてくれる。

スローライフRPGを名乗る本作だが、こうした“選択の自由”が積み重なって、自分だけの物語を形作っていく。

誰かに急かされることもなく、でも確かな達成感と発見が用意されている。

それが、このライフシステムの根幹にある思想なのだと思う。

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グルグルの竜と時をぬすむ少女 — ストーリーの世界観

本作の物語は、一見のんびりとしたスローライフRPGという印象を与えながらも、じつはしっかりと“冒険ファンタジー”の芯を持っている。

タイトルにある「グルグルの竜」や「時をぬすむ少女」という不思議な言葉の響きが、それを端的に物語っているように思える。

物語は、プレイヤーが島で目を覚ますところから始まる。

そこは見知らぬ土地。けれど、どこか懐かしさを感じさせる温もりに満ちている。

そんな場所で、時間にまつわる異変と、不思議な力を宿す少女との出会いが、冒険の始まりを告げることになる。

舞台となるのは「バカデッカーナ大陸」。この大陸の各地を自由に移動しながら、さまざまな人々と出会い、時には手を貸し、時には協力しながら物語を紡いでいく。

ファンタジーライフシリーズらしい明るく温かい世界観はそのままに、今作では“時”というテーマが物語の核としてしっかりと存在している。

どこか切なさを感じる展開や、少しだけ背中を押されるようなセリフが用意されていて、それがプレイヤーの心をやわらかく包み込んでくる。

特に印象的だったのが、「自由で優しい世界なのに、なぜか前に進みたくなる」という感覚だ。

ただのんびりしているだけのゲームではない。

そこには、時をめぐる謎を解き明かす旅があり、その過程で出会うキャラクターたち一人ひとりが、しっかりとした存在感を放っている。

しかも、物語が進むごとに見えてくる“時の歪み”や“竜の記憶”が、プレイヤーの好奇心を静かに刺激してくる。

もちろん、決して重苦しい雰囲気ではない。

あくまで優しく、穏やかに、しかし確かに心に残る物語がそこにある。

グラフィックや音楽のトーンも相まって、まるで絵本をめくるような感覚で物語に浸ることができる。

その柔らかさと奥深さのバランスが、本作のストーリーテリングの魅力として際立っている。

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3DS版からここまで進化!快適なゲーム体験へ

『ファンタジーライフi』は、ニンテンドー3DSで展開されていたシリーズから数えても、明確な進化が見えるタイトルだ。

特にプレイ体験の「快適さ」という点において、本作は大きな飛躍を遂げているように感じた。

まず最も体感しやすいのは、操作まわりの自由度。3DS版では視点操作が限られていたが、Switch版ではRスティックによって360度自由にカメラを動かせるようになっている。

この変更だけでも、探索時のストレスが一気に軽減されているのがはっきりとわかる。

広大なフィールドを歩いているとき、行き先を確認したり、景色を眺めたりといった行動がスムーズにできるようになったことで、冒険の没入感が格段に増している。

さらに、マップそのものの設計も進化している。

かつては迂回が必要だった地形も、今作では崖をよじ登れるようになっており、行動の自由度が確実に上がっている。

これが意外なほど快適で、遠回りせずに目的地にたどり着けたときの“ちょっとした達成感”がクセになっていく。

こういう細かな積み重ねが、プレイヤーの満足感をじんわりと支えているように思える。

そして、マウント(乗り物)による移動手段も新たに追加された点は見逃せない。

フィールドが広がった分、移動の煩雑さをどう解消するのかが気になっていたけれど、このマウントのおかげでテンポ感が崩れることなく、快適な探索が楽しめるようになっている。

このあたりの設計には、シリーズ経験者だけでなく新規プレイヤーへの配慮も感じられる。

UI面でも地味ながらしっかりとした進化がある。

たとえばアイテムの整理やメニュー遷移のスピードが改善されており、これまで以上にサクサクと操作できるようになった。

こういった使い勝手の部分にこそ、プレイヤーのストレスを減らす工夫が凝らされていて、長時間遊んでも疲れにくい設計になっているのがありがたい。

前作に触れたことがある人なら、おそらく最初の数分で「あ、これは確実に遊びやすくなってるな」と実感できるはず。

何気ないところにまで改良の手が入っていて、そのひとつひとつが丁寧に積み重ねられているからこそ、全体として“今っぽいスローライフRPG”としての完成度がしっかりと感じられるのだと思う。

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ユーザー評価も上々!実際にプレイした人の声

発売されたばかりの本作だが、すでに各ゲームメディアからの評価はおおむね好感触となっている。

GameWithでは10点満点中8.5点という高得点を獲得しており、Game8でも「買っても後悔しない良作品」と評されていた。

レビューの中でも特に目立っていたのは、“安心感”というキーワード。あえて過度に尖らせず、プレイヤーのペースに寄り添ってくれるような設計が、評価の背景にあるように感じた。

グラフィックに関しても好評が目立つ。

レベルファイブらしい、ポップでかわいらしいビジュアル表現は健在で、それどころか今回のSwitch版ではより解像感が増し、キャラクターの動きや背景の彩りが滑らかに感じられるようになっている。

全体としては、どこか絵本のような柔らかさをまといつつ、プレイヤーの想像力を広げる空気感がしっかりと作り込まれている印象だ。

また、シリーズ経験者からは「前作以上にボリュームがあって遊びごたえがある」という声も挙がっていた。

確かに、ライフの数は14種類に増えていて、サブクエストやクラフト、里山づくりの要素なども豊富に用意されている。

やることが多すぎて迷ってしまう人もいるかもしれないが、そこに“好きなことを選んで進めていい”という前提があるからこそ、プレッシャーを感じにくい。

むしろ、その自由度の高さがモチベーションにつながっているようだ。

とはいえ、あくまで発売初日の評価であるため、今後さらに多くのプレイヤーが実際に体験することで、より多角的な意見が集まってくるはず。

今の時点ではポジティブな評価が先行しているものの、継続的なアプデやサポート体制がどうなるかという部分にも注目していきたいところではある。

それでも、現段階の印象としては「これは長く付き合えるタイプのゲーム」という実感が強い。

日々のちょっとした時間に少しずつ進めてもよし、休日にどっぷり浸ってもよし。

プレイヤーの生活スタイルにやさしく寄り添ってくれる作品だと、多くの声が語っていた。

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ソロでもマルチでも楽しい!プレイスタイルは自由自在

『ファンタジーライフi』を語るうえで外せないのが、プレイスタイルの“柔軟さ”だ。

ひとりでじっくり世界観に浸りながら進めるのも良し、気の合う仲間と一緒に冒険を楽しむのも良し。

このゲームは、そうしたプレイヤーの遊び方に合わせて、心地よく姿を変えてくれる。

まずソロプレイの魅力としては、自分のペースを何よりも大切にできるという点が大きい。

マイペースに素材を集めたり、拠点を整えたりしながら、少しずつ物語を進めていく。

その過程に、急かされるような要素は一切ない。

ときには釣りをしたり、料理をしたり、日が沈むのを眺めながら散歩するだけでも、ちゃんと「遊んでいる感覚」が味わえる。

何かを攻略しなければ先に進めない、というタイプのゲームとは一線を画していて、むしろ“自分の気持ちが動いたとき”に動き出せる設計になっている。

一方で、マルチプレイも非常にスムーズで楽しい作りになっているのが印象的だった。

最大4人までのオンライン協力プレイに対応しており、フレンドと一緒にライフを選び、役割分担をしながらプレイすることで、まったく違った面白さが見えてくる。

たとえば、ひとりが戦闘に集中し、もうひとりが素材を集めたり、クラフトに専念したりといった具合に、それぞれの得意分野を活かして連携することで、より効率よく、かつ楽しく進められるようになる。

しかも、マルチだからといってガチガチのチームプレイを要求されるわけではない。

あくまで“気楽に遊べる”という雰囲気が貫かれていて、適度なゆるさが保たれている。

それはきっと、本作全体に流れる「のんびり楽しんでほしい」という開発側の想いが、ちゃんとシステム設計にまで反映されているからなんだと思う。

もちろん、プレイスタイルは人それぞれで構わない。

毎日少しずつ遊ぶ人もいれば、週末に数時間まとめてプレイする人もいる。

どんなスタイルであっても、その時間がちゃんと“満たされる体験”になるように作られているのが、この作品の器の広さだと感じた。

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スローライフ×冒険の“癒し系”名作、ついに完成

『ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女』は、そのタイトルからも感じ取れるように、“どこか懐かしくて、新しい”体験を提供してくれる一作だった。

自由度の高い職業システム、のんびりとした時間の流れ、そして心にじんわりと沁み込んでくる物語。

そこに、快適に遊べる操作性や、ソロ・マルチどちらでも楽しめる柔軟な設計が合わさることで、このゲームは“癒し”と“冒険”を両立させた、まさに今の時代に寄り添うRPGに仕上がっていた。

プレイヤーが何をしていても、それがちゃんとゲームとして肯定される設計は、本当に貴重だと思う。

戦うことが好きな人もいれば、モノづくりに夢中になりたい人もいるし、ただフィールドを歩いて景色を眺めていたい人だっている。

そのすべてが正解で、誰もが“自分の遊び方”を見つけていいんだよ、というメッセージが本作からは静かに伝わってくる。

Switchというプラットフォームとの相性も非常によく、寝転びながら遊んでも、ドックに接続してじっくり腰を据えても、どちらでも楽しめるのは嬉しいポイントだった。

ちょっとした隙間時間にクラフトを進めたり、週末にがっつり探索に出かけたりと、生活のリズムに寄り添う遊び方ができるのも本作の魅力のひとつになっている。

何かと慌ただしい日々の中で、ふと立ち止まりたくなったとき。

少し気持ちを切り替えたいとき。そんなタイミングで、このゲームを手に取ってみると、きっと優しく迎え入れてくれるはずだ。

『ファンタジーライフi』は、ただのRPGではなく、プレイヤーの日常に“余白”を与えてくれる、そんな存在になってくれるかもしれない。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

この記事が、ゲーム選びの一助になれたなら嬉しいです。

あなたのSwitchに、新しい冒険と癒しの時間が訪れますように。

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