ファンタジー4Xストラテジーの名作として多くのファンを魅了した『ENDLESS Legend』。その正統続編となる『ENDLESS Legend 2』が、ついに正式発表されました。開発は前作と同じくAmplitude Studiosが手掛け、販売は独立系パブリッシャーのHooded Horseが担当します。リリース形態は製品版ではなく早期アクセス版で、2025年9月22日にPC(Steam)向けに配信予定です。当初は8月リリースの予定でしたが、開発のブラッシュアップを目的に延期されました。

本作のジャンルは、前作のDNAをしっかりと引き継いだファンタジー設定のターン制4Xストラテジーです。ただ、同じ路線をなぞるだけではなく、新たな舞台設定やゲームシステムを取り入れることで、戦略性と物語性の両面で進化を遂げています。特に注目すべきは、海洋惑星を舞台にした広大なマップや、地形が動的に変化する「Tidefall」システムの導入。この変化によって、プレイヤーは従来以上に柔軟で先を読んだ戦術を求められることになります。

Amplitude Studiosは、シリーズの持つ緻密な世界観を維持しながら、現代的なゲームデザインと技術的進化を融合させています。そのため、前作からのファンはもちろん、シリーズ初体験のプレイヤーにとっても敷居が低く、同時にやり込みがいのある作品に仕上がることが期待されます。さらに、戦略ゲームとしての骨太さを残しつつ、UIの改善やグラフィックの強化など、プレイの快適さを高める要素も随所に盛り込まれています。

ENDLESS Legend 2

こうした情報は、公式発表やSteamストアページだけでなく、先行プレイを行った複数のメディアやプレイヤーの声からも裏付けられています。単なる続編ではなく、4Xストラテジーというジャンルにおいて新たな一歩を踏み出そうとしていることが、本作の特徴と言えるでしょう。

珊瑚が死にゆく星で繰り広げられる壮大な物語

『ENDLESS Legend 2』の物語は、前作で描かれた惑星Aurigaから離れ、新たな海洋惑星「Saiadha」へと舞台を移します。この星は美しい珊瑚礁と豊かな海洋資源に恵まれた世界ですが、今まさに「枝枯れ病」と呼ばれる未知の災厄に侵されつつあります。枝枯れ病は珊瑚を死滅させ、海の生態系を崩壊へと導く恐ろしい現象で、その影響はやがて惑星全体に広がり、文明の存続さえも脅かす存在となっていきます。

プレイヤーは、この惑星を救うために立ち上がる勢力の一員としてゲームを進めていきます。物語は単なる戦争や領土拡大だけではなく、この災厄に立ち向かい、世界の調和を取り戻すという大きな使命を伴っています。前作を知るプレイヤーなら、このストーリーが「ENDLESS」ユニバース全体にどう結びつくのかを感じ取れるはずです。実際、公式小説『Shadow of the Endless』との関連性も指摘されており、表面的なゲームプレイ以上に深い背景設定が用意されていることがうかがえます。

ENDLESS Legend 2

Saiadhaという星の存在は、単なる舞台装置にとどまりません。広大な海域や島々、そして潮の干満によって変化する地形は、物語と戦略性の双方に大きな影響を与えます。プレイヤーは環境そのものと向き合い、時には自然現象を利用し、時にはそれに翻弄されながら行動を選択することになります。物語の進行とゲームプレイが密接に絡み合い、プレイヤーの決断がそのまま世界の未来を形作る――そんな緊張感が、この新たな舞台には息づいています。

戦局を変える“潮の干満”――『ENDLESS Legend 2』がもたらす新たな戦略体験

『ENDLESS Legend 2』で最も革新的な要素のひとつが、惑星規模で発生する潮の干満――「Tidefall」システムの導入です。この現象は単なるビジュアル演出にとどまらず、マップ全体の地形や資源配置そのものを動的に変化させます。干潮で新たな土地が現れ、そこに戦略拠点や資源を確保できることもあれば、満潮で重要な領域が水没し、思わぬ防衛線の崩壊や進軍ルートの変更を迫られることもあります。プレイヤーは、この地形変化をいかに読み、味方に有利な形で活用できるかが勝敗を分けることになるのです。

戦闘システムも前作から大きく手が加えられています。同社の別作品『Humankind』をベースに、さらに洗練された形に進化しており、ユニットの配置や地形の活用がより重要になりました。単に数で押す戦い方ではなく、敵の行動を先読みし、地形や環境効果を味方につけた戦術的プレイが求められます。このあたりはシミュレーションゲーム好きにとって大きな魅力となるはずです。

ENDLESS Legend 2

また、本作ではヒーローユニットの役割も強化されました。前作から続投するこの要素は、ただの強力なユニットに留まらず、アクティブスキルを駆使して戦況を大きく変える存在となっています。スキルの効果はヒーローのステータスによってスケールし、成長のさせ方や装備によって運用方法が大きく変わるため、同じヒーローでもプレイヤーによって全く異なる活躍を見せます。

こうしたシステム面の進化によって、『ENDLESS Legend 2』は単なる続編以上の新鮮な戦略体験を提供してくれます。Tidefallによる予測不能な環境変化と、洗練された戦闘、そしてヒーローの戦術的活用。この三つが絡み合い、プレイヤーは常に状況を見極め、次の一手を考え続けることになるのです。

個性がぶつかり合う――4つの勢力が織りなす戦略の妙

『ENDLESS Legend 2』の魅力を語る上で外せないのが、プレイアブル勢力の存在です。早期アクセス版の時点で登場するのは4つの勢力。それぞれがまったく異なる文化や能力、戦術を持ち、同じマップでもプレイスタイルが大きく変わります。新勢力として注目を集めているのが「Aspects」。外交を得意とし、他勢力との関係を巧みに操ることで優位を築いていきます。一方、前作ファンには懐かしい「Necrophage」や「Broken Lords」も再登場。半昆虫型で侵略的な性格を持つNecrophageと、不死の騎士団であるBroken Lordsは、それぞれ圧倒的な個性と戦術の幅を持っています。

これらの勢力は、見た目や背景設定が違うだけではなく、ゲームプレイそのものを変えてしまう非対称デザインが採用されています。例えば、資源の管理方法、軍事行動の優先順位、外交戦略の組み立て方までが勢力ごとに大きく異なります。初めて遊ぶときは、まず自分に合った勢力を選び、特性を活かした戦略を磨くのが鍵になりますが、慣れてくると異なる勢力で挑戦し、その違いを味わうのも本作ならではの楽しみ方です。

ENDLESS Legend 2

この非対称なゲームデザインは、前作からの大きな強みでもあります。同じマップ、同じルールでも、勢力が変われば全く別のゲームを遊んでいるような感覚になる。それこそが『ENDLESS Legend 2』が持つ長期的なリプレイ性の源泉です。さらに、早期アクセスの進行に合わせて新たな勢力が追加されていく予定であり、発売後も戦略の幅は広がり続けるはずです。これにより、プレイヤーは長期にわたって新鮮な挑戦を楽しめる環境が整えられています。

体験版で見えた手応えと課題――ファンの声が示す期待値の高さ

『ENDLESS Legend 2』は、早期アクセスに先駆けて期間限定の体験版が配信され、多くのプレイヤーがその一端を味わいました。Steam上での評価は「非常に好評」となり、シリーズの正統進化を実感したという声が相次ぎました。中でも特に評価されたのが、前作から大幅に向上したグラフィックとオーディオのクオリティです。海洋惑星Saiadhaの美しさや潮の干満による地形変化の演出は、プレイヤーを一気に世界観へ引き込みます。さらに、UIの改善や操作性の向上も、長時間のプレイを快適にする要素として歓迎されていました。

ENDLESS Legend 2

そして、この作品の持ち味である深いストーリー性も健在です。災厄「枝枯れ病」を巡る物語は、単なる背景設定ではなく、ゲームプレイ全体に影響を与える要素として機能します。プレイヤーは戦略を組み立てるだけでなく、この世界を救う使命感を持ちながら進行していくため、戦術面と物語面の両方で没入感が高まります。加えて、ヒーローユニットの改良も好評で、成長や装備の選択次第で戦況をひっくり返す瞬間が訪れるため、一手一手が緊張感を伴います。

ただし、体験版で指摘された課題もあります。特に多く挙がったのが、序盤や戦闘中に発生するカクつきなどのパフォーマンス面の不具合です。これらは開発途中のビルドであることを考えれば避けられない部分ですが、没入感を損なう要因であることは間違いありません。逆に言えば、ここが改善されれば完成度はさらに高まり、正式リリース時にはよりスムーズで快適なプレイが期待できるとも言えます。

体験版の制限はおよそ90ターンまでで、2つの勢力と1つの敵勢力を相手にプレイ可能というものでした。潮の干満が2度訪れるあたりまで遊べる設計になっており、本作の中核システムや世界観の導入部をしっかりと体験できる内容でした。この短い時間でも十分にシリーズファンの心を掴み、新規プレイヤーにも「続きが気になる」と思わせる力を持っていたのは、まさに完成度の高さを示す証拠と言えるでしょう。

正統進化のその先へ――『ENDLESS Legend 2』が描く未来

『ENDLESS Legend 2』は、前作が築き上げた世界観と戦略性をしっかりと受け継ぎつつ、新たな舞台と革新的なシステムを取り入れることで、さらなる高みを目指しています。海洋惑星Saiadhaを巡る物語は、単なる舞台設定ではなく、ゲームプレイ全体と密接に結びつき、プレイヤーに常に目的意識を持たせてくれます。そして潮の干満「Tidefall」による環境変化は、戦局に予測不能な波をもたらし、瞬間ごとの判断に深みと緊張感を加えます。

ENDLESS Legend 2

非対称な勢力設計も健在で、新規勢力「Aspects」や再登場の「Necrophage」「Broken Lords」が織り成す戦略の幅は、早期アクセス版の段階でも十分なバリエーションを感じさせます。さらに今後のアップデートで追加勢力が実装されれば、戦略性はさらに拡張され、長期的に遊び続けられるポテンシャルを秘めています。

もちろん、体験版で指摘されたパフォーマンス面の課題はあります。しかし、それらは早期アクセスという段階を踏むことで改善される可能性が高く、むしろファンや新規プレイヤーからのフィードバックを反映させる余地があるという点では前向きな材料とも言えます。

最終的に、『ENDLESS Legend 2』はシリーズファンが長年待ち望んだ正統続編でありながら、単なる懐古ではなく、新たなプレイヤー層にも響く進化を遂げた作品です。壮大な物語と戦略性の融合、そして環境そのものが戦場となる革新性。この組み合わせが、2025年9月22日の早期アクセス開始を特別な瞬間にするはずです。シリーズの歴史に新たな一章が刻まれるその日を、心待ちにしている人は少なくありません。