真島ヒロ氏による人気SF漫画『EDENS ZERO』が、ついにPS5向けの3DアクションRPGとして登場しました。開発・販売を手がけるのは、数々のゲーム作品を世に送り出してきたコナミ。原作ファンにとってはもちろん、これをきっかけに作品の世界へ足を踏み入れる新規ユーザーにもアピールする内容に仕上がっています。
特筆すべきは、ストーリー構成の絶妙なバランスです。プレイヤーは主人公・シキを中心に、宇宙を舞台とした壮大な物語を追体験できます。ここで注目したいのが、原作の物語を丁寧に再現しているだけでなく、ゲーム独自のストーリーも随所に挿入されているという点です。しかも、これらのオリジナル要素は原作者自身が監修しているということもあり、違和感なく本編と馴染んでいるのが嬉しいところです。
原作を読んでいるプレイヤーにとっては、「あの名シーンがこのグラフィックで蘇るのか」と感動を覚える瞬間も多いはずですし、まだ原作を知らないという人でも、重厚なストーリー展開と魅力的なキャラクターたちの掛け合いを通して、自然と作品世界へ引き込まれていくことでしょう。

とはいえ、原作付きゲームでよくある“ただなぞるだけ”の内容ではないというのが、この『EDENS ZERO』の強みです。ゲームでしか見られない一面や、サイドストーリーによって掘り下げられるキャラクターの背景が、原作ファンの知的好奇心をくすぐってくるのです。そうした部分においても、単なる二次創作の域を超えた「もう一つの正史」として、ゲームが持つ独自性がしっかり確立されている点は高く評価されるポイントだと感じました。
爽快感あふれるアクションバトルの進化
ストーリー面での没入感がしっかりと確保されている一方で、プレイフィールの核となる戦闘部分も本作ではかなり作り込まれています。いわゆる“3DアクションRPG”と聞くと、どこか動きのもっさり感や単調なボタン連打を想像する人もいるかもしれませんが、『EDENS ZERO [PS5]』においては、その心配は無用です。
本作の戦闘は、リアルタイムで展開されるスピーディなアクションバトルが基盤となっており、広々としたフィールドを自由に駆け回りながら、通常攻撃やスキルを自在に組み合わせて戦うスタイルが採用されています。キャラクターごとに設定されたエーテルギアと呼ばれる固有スキルには、原作ファンが思わずニヤリとするような再現演出が盛り込まれており、まさに“動かせるアニメ”という表現がしっくりくる体験となっています。

特に注目したいのが、スキルの成長システムです。プレイを重ねていくことで新たな技が開放され、プレイヤーの選択次第で戦闘スタイルに個性を持たせることが可能になります。最初のうちはややシンプルに感じるかもしれませんが、スキルが揃ってくる中盤以降、一気に戦術の幅が広がっていく感覚はクセになるものがあります。
また、単なる雑魚敵とのバトルにとどまらず、ストーリーの節目では強大なボスとの戦いが待ち受けています。ここでは、ひたすら攻撃を連打するだけでは太刀打ちできず、相手の行動パターンを見極めながら、適切なスキルのタイミングや回避行動を求められるという、歯ごたえのある設計がなされています。そのため、ゲームとしての手応えをしっかり味わいたいという人にも十分な満足感を与えてくれる構造になっているのです。
一撃の重さ、スピード感、そして視覚的な爽快感。この3つが絶妙に噛み合うことで、『EDENS ZERO』のバトルはただの“再現”にとどまらず、プレイヤーの手で操ることの楽しさを存分に引き出すアクション体験へと昇華されています。
広大な宇宙を冒険する探索と200種以上のクエスト
戦闘の爽快感に魅了されたプレイヤーを、さらに深く作品世界へ引き込むのが、このゲームならではの探索要素とクエスト構成です。物語の舞台となるのは、原作でおなじみの惑星「ブルーガーデン」をはじめとした多彩なロケーション。どのエリアもアニメ調の3Dグラフィックで再現されており、その描き込みの丁寧さに、つい足を止めて景色を眺めたくなる場面もあるほどです。

とはいえ、単に世界を見て回るだけではありません。この『EDENS ZERO』には、200種類以上ものクエストが用意されており、探索と連動して進行するサブストーリーが数多く仕込まれています。メインクエストでは原作の流れを追体験できる一方で、サイドクエストでは、ゲームオリジナルの小エピソードやキャラクター同士の掛け合いが楽しめるようになっており、その多くが“ただの作業”にとどまらない物語性を伴っています。
特に嬉しいのは、こうしたクエストの中で、原作ではあまり描かれなかったキャラクターの裏側や日常的な一面に触れられるという点です。「このキャラ、こんな表情も見せるんだ」と思わされる瞬間が積み重なることで、プレイヤー自身の中にあるキャラクター像がより立体的に広がっていく感覚が生まれます。
また、クエストの進行に応じて新たなエリアが解放されたり、探索中に隠されたアイテムやイベントが発生したりと、探索そのものにも意味がしっかり持たされています。道中の寄り道がただの作業にならず、「次はどんな出来事が起きるんだろう」と自然に前のめりになってしまう、この設計の巧みさも見逃せません。
それに加えて、宇宙を舞台にしているという設定上、惑星ごとの文化や雰囲気が異なるのもポイントです。同じ探索でも、訪れる場所によって体験が変化するため、単調になりがちなRPGの冒険パートにほどよいリズムが生まれています。
本作の探索とクエストは、単に“マップを歩く”という行為を超えて、物語への没入感とキャラクター理解を深めるきっかけを随所に散りばめており、プレイヤーを飽きさせない工夫がしっかり根付いています。
装備700種+育成要素でやり込み度MAX
クエストを通じて物語を深めていく一方で、本作のもう一つの大きな魅力は、育成やカスタマイズの奥深さにあります。特に、装備アイテムの充実ぶりは特筆すべきポイントで、700種類以上という圧倒的なボリュームが用意されています。この数だけを見ると「そんなに必要?」と思うかもしれませんが、実際にプレイしてみると、それぞれの装備に特徴や効果が異なっており、自分だけのキャラクタービルドを考える楽しさにどんどん引き込まれていく感覚があります。

この装備は、敵のドロップやクエスト報酬で手に入るのはもちろん、拠点となる戦艦「エデンズゼロ」の中にある施設で素材から作成したり、既存の装備を改造して性能を引き出したりと、多様な入手・強化手段が用意されています。この“戦艦を育てていく感覚”がまた絶妙で、単なるアイテム管理の枠を超えて、プレイヤー自身の拠点を充実させていくという没入感にもつながっています。
さらに、こうした装備や成長要素を活かす形で、キャラクターのレベルアップやスキル解放が進んでいく構造も、RPGファンにはたまらないものがあります。敵を倒して経験値を獲得し、ステータスを伸ばしながら、新たな技や能力を手に入れていく。この王道的な育成フローが、しっかりと今作の中でも根付いていて、しかも各キャラクターごとに伸ばし方が異なる分、同じキャラでも人によってプレイスタイルが大きく変わってくるんです。
そして、もうひとつ忘れてはならないのが「友達スカウト機能」です。これは、原作でおなじみの仲間たちを自分のチームに加えることができるシステムで、戦力的な意味だけでなく、編成の組み合わせを考える楽しみも生まれてきます。お気に入りのキャラでドリームチームを組み、理想の連携を模索する過程には、自然と時間を忘れてしまう中毒性が潜んでいます。
もちろん、装備やスカウトといった収集要素だけでなく、ゲーム内にはコレクション要素もきちんと実装されており、キャラクターや世界設定に関する資料カードのようなアイテムを集めるという楽しみもあります。ただ強くなるために育てるだけでなく、「世界を深く知るために集めたくなる」というモチベーションが働く設計になっているあたりに、本作の開発陣のこだわりを感じさせられました。
育成、収集、強化、編成。あらゆる面でやり込み要素が豊富に詰まっており、「ちょっと遊んで終わる」なんて発想が吹き飛んでしまうほど、プレイヤーの時間を心地よく奪っていく設計が光っています。
高評価レビュー多数、でも“惜しい”点も?
これまで紹介してきたように、『EDENS ZERO [PS5]』は原作ファンにとって夢のような再現度を誇り、アクションの爽快感や膨大なコンテンツ量でプレイヤーを引き込んでいく作品に仕上がっています。では実際の評価はどうかといえば、多くのレビューサイトやプレイヤーたちから「愛すべき作品」として概ね好意的に受け止められている印象です。
中でも特に称賛されているのが、やはりバトルシステムの完成度とボリュームの多さです。戦闘が進化していく感覚がしっかり設計されていて、スキルの解放や戦略的なボス戦の歯ごたえに、プレイヤーは自然と夢中になっていきます。また、200種以上のクエストに700種以上の装備、コレクションやスカウト機能まで含めれば、プレイ時間の密度も相当なものです。「ひとつのゲームを長く遊びたい」という人にとっては、かなり理想的な内容だと言っていいはずです。

ただし、全方位的に“完璧”というわけではありません。いくつかのレビューでは、システムや演出以外の部分にやや甘さを感じるという声も見受けられました。たとえば、クエストの構造が一部単調に感じられたり、キャラクターのセリフ回しや演出面がもう一歩踏み込めていればもっと良かった、という意見も見られます。
また、ストーリーに関しても賛否は分かれている印象です。原作ファンからすれば感慨深い場面の数々が再現されているものの、ゲームオリジナル要素に対して「ちょっと薄味」と感じる人も一定数いるようです。中には「これなら漫画かアニメで楽しんだほうが没入できたかもしれない」という、やや厳しめの声も挙がっており、このあたりはゲームとしての演出表現の限界にぶつかっている部分があるのかもしれません。
そうはいっても、あくまで全体の完成度を考えたときに、“荒削りな傑作”という評価がしっくりくる作品であることは間違いありません。特定の部分に対する不満があるとしても、それを上回る熱量と愛情で作られたゲームであるということが、多くのレビューから伝わってきます。とくに「原作が好きだからこそ、ここまで遊び尽くしたくなる」といった声が多く寄せられていることからも、本作が“ファン向けキャラクターゲーム”としてしっかり役目を果たしていることがよくわかります。
結論:ファンならプレイ必須!まずは体験版から
『EDENS ZERO [PS5]』という作品は、あらゆる面で“原作ファンを中心に強く刺さる”設計がなされています。圧巻のコンテンツ量に、自由度の高いキャラクター育成。そして、原作愛に満ちた世界観の再現とオリジナル要素の絶妙なブレンド。プレイヤーの熱量を受け止める土台は、しっかりと整えられています。
ただその一方で、あくまで“万人受けする王道RPG”というよりは、“強烈な個性を持ったキャラゲー寄り”のタイトルでもあるため、人によって感じ方が大きく分かれる部分も確かに存在します。だからこそ、この作品に少しでも興味がある方には、まずは配信中の体験版を触ってみることを強くおすすめしたいんです。

体験版では、ストーリーの冒頭部分だけでなく、いくつかのサイドクエストや戦闘パートも含まれているため、本作の雰囲気やシステムの全体像を掴むには十分なボリュームが用意されています。「このバトル、クセになるかも」と感じたなら、その時点でもう購入を決断してもいいかもしれません。
そして何より、このゲームが最も輝くのは、キャラクターたちに対して“思い入れ”を持った瞬間からだと思っています。アニメや漫画を観ていた人であれば、「あのキャラが操作できるんだ」「この惑星を自由に動き回れるのか」という、ワクワクとノスタルジーが入り混じった感覚が味わえるはずです。逆に、ゲームをきっかけに原作へと興味を持ち、そこから“EDENS ZERO”の世界にハマっていく、そんな流れも十分に考えられます。
最後にひとこと付け加えるならば――この作品は、ただのメディアミックスではありません。ゲームという表現手段を使って、原作の新しい魅力を再発見させてくれる、そんな愛情に満ちた一本です。RPGとしての手応えも、キャラクターゲームとしての深みも兼ね備えたこの作品に触れて、あなた自身の手で宇宙を駆け抜けてみてください。